Monday 31 October 2016

Ideal organization

Bob Sutton Work Mattersを読んでいたら、彼が組織行動学(Organizational Behaviour)を教えてきた経験について振り返る記事がありました。組織行動学には興味があるので食いつくように読んでいると、こんなくだりに出会いました。

My favorite part of the organizational behavior class is the final exam. Students learn the question on the very first day of class: "Design the ideal organization: Use course concepts to defend your answer."

理想的な組織をデザインして、コースで学んだコンセプトを使って自分の回答を正当化しなさいというものです。これは二つの意味で興味深いですね。まず、学生ではなく、人事部での実務経験がある人が描く理想的な組織とはどんなものだろうということ。人事部長またはHRジェネラリストは少なからず組織に対して参照や不満や懸念を感じるもので、どれくらい言語化するかは別として、経験の中で理想の組織というものを心の中で描いているはずです。それがどんなものか知りたい。
二つ目の点はコースで学んだコンセプトを使って、理想の組織を理論武装するというところ。大学等でHuman Resourcesを学んだ人なら、理論武装はありますが、そうでない限り、実務経験が理論武装するときの武器だ。現場のHR Professionalはどのようにこの点を克服するのでしょうか。Bob Suttonも言っていますが、これは経験ない学生にはとても難しい。経験をもっていても難しいと思います。

言ったからにはやろうじゃないかというので、理想の組織を考えて見ました。作文は自信がないので、箇条書きに特徴を書くことにします。

My ideal organization should:
  • See fairness as the principle. もし、組織のトップマネジメントが人に関する判断でUnfairな行動を取ると、組織はモチベーション落下へと向かうのみです。一方、トップマネジメントが人に関する判断を行う際に、Fairnessを具現化しようとしている場合には、いわゆる「psychological safety」が保証され、社員は組織に対して信頼感を抱きます。
  • Recognise desirable behaviours and punish unwanted behaviours. たとえばハラスメントに対して何のアクションも取らない組織は求心力を失っていくでしょう。離職率があがるのを止めることは無理になります。一方、ハラスメントに対して真摯に取り組み、組織として望ましい行動を認める組織は、成功のファウンデーションができていると思います。結果はおのずと出ていくのではないでしょうか。
  • Be practicing the learning culture. 環境は変化します。変化する環境に適応できない組織は「適者生存」の法則に従い、滅びていくしかありません。組織も、組織ではたらく社員も常に学び続ける場合、組織は生存し続けるはずです。
  • Be embracing power of abundant communication. 組織にとってコミュニケーションは、身体にとって血液と同じです。血液が流れなくなったら、細胞は死ぬしかありません。同様に、コミュニケーションがなくなったら、組織は死亡=崩壊するしかありません。もちろん、コミュニケーションがまったくなくなることはないでしょうが、これが悪い組織は、血の流れの悪い人と同じです。いつ病気になってもおかしくありません。組織の健康診断を受ければ悪い箇所がいくつか見つかるでしょう。一方、コミュニケーションのいい組織は血の流れがいい人と似ています。とても健康的で、病気にかかることもないでしょう。


書いてみて思ったのだが、自分は組織を身体に喩える傾向があるようだ。それと、これしか書いていないのにずいぶんと時間が必要だった。言語化していないことを言葉に落とすのは大変なパワーが必要らしい。

ついては、上の組織の理論武装については別の機会で行おう。

Saturday 29 October 2016

オープンオフィスはいいのか?

オープンオフィスというのが流行っているそうです。従来のオフィスというのは、座るデスクが決まっていて、部署によっては隔離されている場所もあります。たとえば、人事部は気密性の観点から隔離されているのが普通です。
これでは、コミュニケーションが阻害されるという考えのもと、壁を取っ払い、さらには定住するデスクもなくすことで、ダイナミックに社員が交流するのを期待したい。その結果生まれたのがオープンオフィスです。
もし、願った結果が得られるのなら、これほどいいことはないでしょう。でも、実際はどうなのか? 科学的に考えるとするなら、コミュニケーションという測定しにくいものを何らかの方法で定量化して測定する必要があると思いますが、実際にはどうなのでしょう?


定量化したわけではまったくないのですが、上のブログでは、率直にオープンオフィスの罪について語っています。簡単に言うと、自分のデスクのそばにうるさい同僚が座るようになってしまい、集中ができない。彼らが夕方になっていなくなって初めて仕事ができるというものです。
オープンオフィスはマクロ的観点から生産性とコミュニケーションにアプローチしたものですが、上の例を見ると、マクロの利点がミクロの欠点で打ち消されています。やはり、オープンオフィスをつくるよりは、社員が素敵なオフィスと思うようなきれいで明るいオフィスが速いのかもしれません。

ぼくの直感では、10年もしたらオープンオフィスなんて誰も言わなくなるのではないでしょうか。どうも表面的すぎるし科学的根拠もないように思えるのです。ひとつの部署が50名と大きくてコミュニケーションが悪いから、部署の大きさを5名にすればコミュニケーションはよくなると言われたらみなさんは信じますか? ぼくは経験上、絶対ありえないと思います。5名になると人間関係がより濃厚になるから、中にいやな人がいると、コミュニケーションの問題はより浮き彫りになるだけです。 やはり、マクロの利点がミクロの欠点に消されてしまいます。

Thursday 27 October 2016

Design Thinking

There are two types of people: some people learn little from their experience; other people learn a great deal from their experience to get themselves better or get things better. I am not sure why and I don’t intend to analyse the cause, but this is translated into a habit of seeing an opportunity in every activity/event.

Once I had an unpleasant onboarding experience. There was a process in place, but something was wrong. So I decided to look at the on-boarding process more closely. A usual approach is to review the actions and the steps which form the on-boarding process in order to see an opportunity for efficiency. I decided to bring a different perspective: experience. On-boarding is the first exposure to a new organization. This is what we call “first impression”. Everybody knows that the first impression is important. There is no use claiming that you should not judge a person based on the first impression because eventually people make a decision instantly and it will take extra efforts to change the perception that was formed based on the first impression.
You will agree that first impression will be critical to motivate those who join an organization. If the on-boarding experience is the first impression, then, it makes sense to ensure that new staff remember the on-boarding experience with smile and excitement.
Peter Drucker wrote that work is impersonal but working is human. Similary, a process is objective, but experience is human. If we wish to improve the on-boarding experience, it is not enough to look at it from engineer perspective. We need to add another perspective. That is experience.
For instance, if you say "on-boarding process", that gives you an opportunity to improve efficiency around the process. This is good, but this is not excellent. Why? Because on-boarding is a personal experience. If you say "on-boarding experience", you will eventually put yourself into the shoes of those who join the organisation. This will turn your attention to what the new staff will feel when they go through the on-boarding process. Creative ideas can start to come to your mind such as "what can we do to impress the new staff that we are organised?" "what can we do to turn frustration into joy when new staff start to learn the policies and processes in the organisation?"


When I came across the above article, it was a bingo feeling. What I did while focusing on experience was actually design thinking. I did not think this was a big theme, but according to the article, this looks like an initiative which can have a huge impact on the entire organisation. This can make sense to us because we have promised to be more efficient. Robust processes are important to protect the organisation. Who operates the processes? It is certainly not robots, but human beings. If processes give you painful experience, who will care how robust the processes are? This is where "design thinking" can interfere and make a difference.


What do you think?

Wednesday 26 October 2016

家内から学びたいコミュニケーションスキル

家内を見ていて思うのは、コミュニケーションの難しさだ。

先に断っておこう。彼女はコミュニケーションの天才と言ってもいい。たとえば、飲みに行くとしよう。いつの間にか近くの人達と仲良くなっている。お店の人とも仲良くなっている。楽しい人なんですねと言えばそれまでかもしれないが、実は、これはとんでもないことだ。
そもそも、飲み屋では、バックグラウンドの違う人達が集まる。性別も違えば年齢も違う。業界も職業も異なる。つまり、コンテクストがかなり違うということだ。その上で、どういうコンテクストが初対面で聞き出すことは難しい。
そのような限られて条件で、仲良くなるというのはとてつもなく難しいことだ。同じ会社という恵まれたコンテクストでさえ、ラポールを築くのは技術と経験が必要とされるのに、そうでもないのにどうしてそんな芸当ができるのか。
彼女を見ていると思うのだが、それは、受け答えがうまいからだ。彼女は聞くのがうまい。相手に話をさせるのがうまい。ただ話をさせているのではなく、反応をしながら、相手が話しやすいような環境をつくっていく。
そして、話を聞いているときの表情も豊かだ。
つまり、何を話しているか、どう話をしているかというよりは、場をつくっているのだ。
コミュニケーションは、植物のようなものなのかもしれない。コミュニケーションが成立するには、その土壌が必要なのだ。彼女はその土壌をあっという間につくってしまう。だから、彼女はいつの間にか知らない人と仲良くなってしまう。


問題はどうやってその能力を身につけるかだが、それは次回に考えよう。

Tuesday 25 October 2016

Thoughts around the Sunday game Chelsea vs ManU

Jose Mourinho was humiliated at Stamford Bridge, his former home stadium until December 2015. Before the game started, I had expected Manchester United to beat Chelsea FC despite its away game.

However, Chelsea stole a goal 30 seconds after the kick off due to a poor coordination between the defender and the goalkeeper. Jose Mourinho had to change the game plan after one goal was conceded, but Manchester United could not change the game and were beaten to 4 - 0 miserable defeat.

What concerns me is that ManU failed to demonstrate resilience. Nobody is perfect. Everybody makes mistakes. When it comes to football games, you may take a terrible start and concede a goal. What matters is how you recover from the painful mistake you have made and show resilience. Man U failed to do so.

What has Jose Mourinho been doing to instill a fighting spirit and winner mentality so that his 'boys' could demonstrate resilience and neutralize the game? What you see on the pitch is the outcome and you do not see the process during a game. However, as HR Professional, I cannot stop imagining the process behind the pitch.



I wonder if there are ingredients to resilience. If there are, are there confidence, self-esteem, or recognition? Perhaps I should watch more football games from this angle so that I can formulate a hypothesis around how resilience can be formed.

Monday 24 October 2016

人事部は特殊な専門性が必要か

数年前に、とあるフォーラムのようなものに参加したことがあります。短いフランス映画が上映され、その後、東京大学の先生などがお話をして、質疑応答を行うという構成だったと思います。フランス映画では、工場に人事の学位をとった若い社員が入社して、いろいろ施策を行うのだが却って労使関係がおかしくなってしまうというストーリーでした。
ぼくは質疑応答において、日本において人事部を専門性の高い部門だとみなして、将来の人事プロフェッショナルを育てるべきだという考えを述べたのですが、東京大学の先生は反対の意見をおもちのようでした。曰く、そういうことをすると、映画のような顛末になると。
百歩譲ってその通りだといいましょう。大学を出たばかりの社員に会社の人事制度や人事政策を担当させ、そのまま実施すれば労使関係は壊れる可能性はあります。でも、それは人事を大学で専攻したからいけないのではなく、大学を出たばかりの社員に全権委任したことがいけないのではないでしょうか。つまり、会社や組織をあまり知らない新卒に人事制度や人事政策を担当させるというかなり大胆な任命をしたことが問題だと見るのが妥当なはずです。東京大学の先生の回答にはがっかりしましたが、ある意味で、この回答は的を得ていたかもしれません。
日本の企業では、人事部は専門性の高い部門とはみなされていないと思います。東京大学の先生の回答は、この認識を体現していたと言っていいでしょう。上場企業において、営業や物流を担当して、人事部長になるというのは驚かない人事異動です。なぜなら、日本の企業の多くは、人事はだれでもできると捉えているからです。曰く、優秀な人はどんな部署だってこなせる。これはあまりに楽観的な見方です。時代遅れと言ってもいいかもしれません。この程度の認識では、21世紀において日本企業は競争力を維持できないと思います。
まず、優秀な人ならなんでもできるという発言には、キャリアマネジメントやキャリアデベロップメントという考えは微塵もありません。これでは、各社員の能力を最大化することは奇跡に頼るしかありません。
次に、人事部の仕事は誰でもできるとみなすことは、人事部が会社に与えることができる貢献を認めていないということです。人事部は給与計算をして、福利厚生をまとめてくれればそれでいいと考えている裏返しです。企業をつくるのは人だというのに、この考えは、事業計画と市場環境があえば、会社は成功するというナイーブな考え方に見えます。スポーツの世界において、すばらしい選手たちに恵まれており、資金も潤沢にあるクラブがうまくいかないケースを何度となく見たはずなのに、こういう考えがうまくいくでしょうか。ぼくは、20世紀終わりに日本企業が勢いを失い、一方で、米国企業が勢いを取り戻したのは、人事部に対する認識が原因だと思っています。
米国企業では、人事部を戦略的パートナーと捉えて専門的アドバイスの元、戦略的に人的資源を活用・開発することに取り組みました。一方、日本企業では、戦後から進歩はありません。たとえば、報酬・評価を取り上げて見ても、基準が曖昧で不安定であり、たまに現れるカリスマ的リーダーによって業績が上がるくらいで、永続的に業績を築ける文化と人材を提供する仕組みはほとんどないでしょう。人事部は採用オペレーションをこなし、あとは給与計算と福利厚生オペレーションを行うコストセンターという捉え方しかしていないと思います。仮にそれ以上を期待していたとしても、その期待を満たす人材はいないでしょう。
先日、友人たちと話をしていたときに、奇しくも、将来の人事プロフェッショナルを育成するべきだという話になりました。自分だけでなく、他の人も同じように考えていたと知ったことはとてもうれしかったし、勇気をもらいました。このブログがそのような動きの助けになればと思う次第です。


Thursday 20 October 2016

紳士靴と会社

紳士靴と会社って似ている点があるなと思うことがあります。新しい会社に入るのはウキウキします。新しい靴を履くのもウキウキします。
憧れの靴を買っただけでもうれしいものですが、それを履くのはさらにうれしい。もちろん、そこで終わりではありません。靴が自分に慣れる、または自分が靴に慣れるまでは、しっくり来ません。時間とともに、靴と自分の相性がよくなって履き心地がよくなる。
新しい会社に入ったら、新しい環境に慣れる必要があります。人々、部署、決まり、そして仕事のやり方が文化を形成すると思うのですが、それに順応していって、居心地がよくなるのではないでしょうか。

Two advocacies

 みなさんは、「advocacy」という英語の単語をご存知でしょうか? もともとは、 動詞の「advocate」から派生した単語です。「advocate」とは「代弁する」という意味です。「advocacy」は代弁、代弁者という意味になります。 HRにはふたつの「advocacy」...