採用(Recruitment)の前に、人員計画(Workforce planning)が重要なのは当たり前ですが、採用が重要でないわけではなく、また、採用が簡単なわけでもありません。
実際、採用に失敗した例は枚挙に暇がないと言ってもいいでしょう。
かく言う私もやらかしてます。二人の候補者から迷って採用したものの、あとから、別の人を採用すればよかったと悔やんだり、この候補者は採用するべきじゃないと言ったにも関わらず、採用が進んでしまい、入社して試用期間が進んだところで、やはり、懸念していた問題が表面化したり……
CIPDでは、採用を次の四つのプロセスに分類しています。
- Defining the role
- Attracting applicants
- Managing the application and selection process
- Making the appointment
つまりは、
- 採用するポジション(role)を定義する
- 候補者を集める
- 応募のマネジメントと選考
- オファー・マネジメント
ということです。HR professionalには新鮮でもなんでもなく、知っている内容ですが、分かっているのは、これをすべてしっかりこなすことは簡単ではないということです。
Defining the role
まず、ポジションの定義ですが、わかりやすい成果物は job description つまり職務内容定義です。外資系では当たり前の書類ですが、日本の企業ではそろっていますか? いや、外資系であっても、採用をしたいという割には、まだ、job description がありませんなんてこともあります。
Attracting applicants
候補者を集める方法はいろいろあります。社内の候補者を考慮するというのはすばらしい方法です。また、社外の候補者を集めるのも有力な方法です。会社のウェブサイトに掲載したり、job board に掲載したり、あるいは、人材紹介会社にお願いする方法もあります。
最初に考えた方法で応募があまり集まらないときに打開策を提案するのは、HRの腕の見せ所です。一方で、先に人材紹介会社にお願いをして最終候補者を何名か絞ってから社内の候補者も考慮するというのはお勧めできません。人材紹介会社にとって、時間のムダとなる可能性があり、そのようなやり方を続けていては、人材紹介会社との関係が悪化する恐れがあります。
Managing the applicants and selection process
おそらく一番頭を悩ますのは、このプロセスです。ときに、素晴らしい候補者を見落とすこともあります。逆に、要求とは外れている候補者を選んでしまうこともあります。
なぜ失敗するのでしょうか?
間違った質問をしたというのもあります。本来、job description を作成した時点で、好ましい候補者を定義しているはずですから、まずは、職務内容を経験しているのか、どのような働き方をしているのか、質問を用意しておくべきですが、そうでないケースが多々あります。これでは、そもそも、判断のしようがありません。
さらに、判断に間違うことが多々あります。
結局、人間はさまざまなバイアスにより判断の客観性が脅かされています。人を判断することは、思ったより難しいのです。どうしても、自分に似た候補者を好きになるというのは有名なバイアスですが、これに抵抗することは難しいでしょう。
しかし、あらかじめ、質問・面接者・ステップを決めておけば、こういった間違いは少なくすることができます。
Making the appointment
日本の会社だと、内々定、内定という形ですが、外資系では、次のステップを踏むことが多いと思います。
- Verbal offer
- Written offer
- Pre-employment screening
Pre-employment screeningはリファレンスをもらうというのではなく、候補者のバックグラウンドの確認です。◯◯大学卒業と言っているか、本当だろうか? 職歴に間違いはないだろうか? 中国では学歴詐称は日本の比ではないので、さまざまな国籍の社員を採用する企業は、たとえ日本の企業であっても、Pre-employment screeningは行うほうがいいと思います。個人的には、政党も候補者を立てる前に、こういったチェックを第三者にしてもらうのがいいのではないかと思います。
以上、採用をざっと見ましたが、二人の候補者で迷ったらどうするか?
その時の私の回答はシンプルです。性格または人柄がいいと思う候補者を選ぶことです。