企業にとって、人材は重要なリソースです。
お金があっても人がいなければ企業活動は成り立ちません。 それも、ただ人がいればいいのではありません。必要な部署に必要な人材が配置されていることが大切です。いわゆる、適材適所というやつです。
Workforce planningは、そういう意味から考えても、とても重要なHRのフィールドです。そして、これに付随しているのが Recruitment & Selectionです。日本語では「採用」と読んでいます。
採用で頭を悩ましていない企業はあるのでしょうか?
調べたわけではないのですが、ないでしょう。世界中で人材を求めているのが自分の企業ひとつだけであれば、ほぼ独占ですから、頭を悩ますことはないでしょう。しかし、どの企業も適材適所を求めて人材を探しているのですから、採用が簡単なわけはありません。
経験上、そして、理論上、採用がうまくいかないときには、次の観点でアセスメントをするのが打開策になります。
- Resourcing strategy
- Requirement
- Interview process
- Selection criteria
- Quality of interviewers
- Employer Branding
ひとつずつ見ていきましょう。
1. Resourcing strategey
この観点は、どのチャンネルで人材を探しているのかということです。たとえば、リーガルの人材を求めているとします。外部の人材紹介会社にお願いをしました。いつもお願いをしている会社なのでうまくいくと思ったがなかなか人が集まらない。そこで考えてみた。お願いをしている人材紹介会社は、リーガル人材に強いのか? たとえば、リーガルに特化した人材紹介会社があります。では、いつもお願いをしている人材紹介会社ではなく、リーガル専門の人材紹介会社にお願いしよう。すると、うまく候補者があがるようになります。
2. Requirement
募集をかけた。人材紹介会社も適切だ。でも、候補者が上がってこない。どうしてだろう? 人材紹介会社に聞いてみたら、腹を割って話してくれた。御社の要求内容が多すぎて、こんな人材はあまりいないし、いたとしても、給与が高いので、御社の予算では候補者は見つかりません。
あるあるです。
こんなときは、予算をあげるか、要求事項を見直すか。人材紹介会社に相談にのってもらいながら、代替案となる要求事項を作るのも有効です。
3. Interview process
候補者はあがってくるが、なかなか最後まで至らない。時間ばかりかかってしまって、成果がなかなか上がらない。こんなときは、Interview Processを疑ってみるのが有効だと思います。
たとえば、誰が、どの順序で面接するのか決まっていない。すると、行きあたりばったりで、その都度、面接者が加わったり、面接のステップが増えたりします。こんないい加減なデザインで、採用がうまくいくと思ったら、採用を過小評価していますね。
最初の段階で、いくつのステップで面接をするのか、それぞれ、誰が面接するのか決めれば、それぞれのステップのフォーカスも自ずと決まりやすくなります。すると、意思決定がしやすくなります。
また、候補者に面接のステップを説明することで、透明性が高まり、企業のイメージをよくすることができます。
4. Selection criteria
面接する人によって期待することが違う、役割に対して言っていることが違うと思うことはありませんか? もし、そうだとしたら、その会社は、採用基準があやふやということです。Interview processが最初に決められていないのも原因ですが、そもそも、この役割については、いい人材とはどのような人か明確に鳴っていないと、採用基準があやふやになります。これでは、採用が滞ります。
Job Descriptionを作っておくのは当然ですが、こういう人材は取らないというルールを確立しておくのが有効です。
5. Quality of interviewers
採用がうまくいかないとき、面接者のスキル不足という問題もあります。これは、面接者とHRが同席して、どのような質問をしたか観察し、後でフィードバックすることで向上を図ることが可能です。
面接が下手な面接者は、一般的にYes/Noで答えられる質問をします。また、hypothetical questionといって、仮想的な質問をします。当社に入ったらどのように貢献をしたいですか? これは、この質問を想定していた候補者がよく見えるだけで、実際に今の会社で素晴らしい貢献をしているかどうかはわかりません。現在及び過去の仕事に対して話をさせるような質問が有効です。
加えて、男性だけ、女性だけで面接者を構成するのではなく、男性の面接者と女性の面接者の両方を加えることで、面接者全体のバランスを取ることも可能です。
6. Employer Branding
以前の記事でも書きましたが、候補者に対する会社のブランド価値です。会社の名前をきいただけで、候補者が受けたいと思うようなブランドであれば最高です。しかし、すべての会社が有名なわけではありません。
重要なのは二つです。
まず、候補者のUser experienceです。面接を受けると、良くても悪くても、その結果がすぐに明確に返ってくる会社にはいい印象が残ります。一方、突然面接を入れてきたのに、その結果が一ヶ月経っても返ってこないと、悪い印象しか残りません。User experienceとしては最悪の部類です。User experienceをあげることで、Employer Brandingは高まり、うまく機能します。
もう一つは、会社と、提示している役割をどう売るかです。有名な会社=エキサイティングな仕事ではありません。たとえば、女性の活用が進んでおり、女性のマネジャーもたくさんいる会社は、そのことを採用過程で説明することで、女性の候補者に強くアピールすることができます。また、フレキシブルワーキングが進んでいる会社は、それをアピールに使うこともできます。
この二つを組み合わせて、Employer Brandingを有効に使えば、採用過程全体の後押しをすることができます。
以上、思うことを書きましたが、面接者の魅力も侮れません。採用で会った人がすべて感じがよかったと候補者が感じるというのは、候補者を逃さないという点で有効な側面です。ただ、これに関しては、あなたは魅力が薄いから面接者として向かないと言うのは、だれがやろうと、不適切ですから、せめて、面接者は、候補者に対しては最低限の礼儀をわきまえるようにというアドバイスとしてかえさせていただきます。